最近、テレビで「新しい働き方」という言葉がよく使われています。
この新しい働き方とは一体何なのでしょうか?
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私はテレビを見ないため(ていうか論文以外読まない)
どれほど報道されているのかわかりませんが、社会問題になっていることは理解しています。
新しい働き方の何が問題であり、いま何が起きているのでしょうか?
まずはこちら。
■Uber Eatsの給料6割カット問題
出典:キニ速(http://blog.livedoor.jp/kinisoku/archives/5135046.html)
新しい働き方をしているUber Eatsの配達員さんのお給料がいきなり6割もカットされました。
いままで6時間働いて1万円もらえたのが、6割カットされ4,000円になりました。
6時間で4,000円だと、時給換算で666円であり、東京都の最低賃金より300円ほど少ない金額で働くことになります。
6時間も一生懸命自転車漕いで配達するのに最低賃金以下の労働です。
なぜ、こんなことが起きるのでしょうか?
まずUber Eatsのビジネスモデルを見てみましょう。
Uber Eatsがプラットフォーム(入れ物)を作ったあと、料理人が調理して食べ物を作り、配達員が配達して顧客へ届け、料金を受け取ります。
それはこういうことです。
■料理を届けるまでにしていること
- 料理人…料理を作る
- 配達員…出来上がった料理を配達する
- Uber Eats…毎回何もしていない
プラットフォームは一度作られてしまえば毎回の料理の注文においてはIT(情報技術)が自動で処理してくれるため、エンジニアは何もする必要がありません。
全部自動です。
何もしていないのにお金が入ってくる。これがプラットフォームビジネスです。
毎回の注文があったら料理人はその都度料理を作らねばなりませんし、出来上がった料理は毎回配達員さんが自転車を漕いで、顧客まで配達しています。
だけど理系のエンジニアはもう何もしなくてもUber Eatsの預金残高には、分単位でお金が振り込まれます。
新しい働き方とは何なのでしょうか?
それはプラットフォームのエンジニアの働き方ではなく、一生懸命汗水垂らしている配達員側の求人のことです。
料金体系を改定できるのは一体誰でしょうか?
何もしていないUber Eatsです。
たまにプラットフォームのバグがあったらプログラムを書き換えるだけで、あとは何もしません。
理系のIT企業が一度作ってしまった入れ物は分単位で金を生み出し、その奴隷労働者とも言うべき配達員は、朝から晩まで働いているのに、最低賃金かそれ以下の収入しか得られない。
なぜこんなことが起きるのでしょうか?それはとても簡単です。
社会科学における最高の学問、マンキュー経済学ミクロ経済学編の「市場について」のページに載っています。
1対多の市場がある場合、1が圧勝し料金体系のすべてを掌握し、多がお前の替えはたくさんいるんだよ!と言われ買い叩かれる。
よって多側は低賃金を余儀なくされる。
パワーバランスにおいて1側は高利益体質・正社員・高待遇であり、多側は低賃金で誰にでもできる替えのたくさんいる労働者。
そう、新しい働き方とは、誰にでもできる替えのたくさんいる労働者のことです。
一握りの超優秀な理系エンジニアが作ったプラットフォーム(入れ物)では、分単位で利益を生み出す。
Amazonではセール日においては、1秒で注文が426回されました。
1回1回エンジニアが処理しているわけではありません。ITによって全自動です。
だけど替えの利く労働者はAmazonで注文された商品を1つひとつ配達しているのです。
この問題の本質は2つです。
一つは優秀なエンジニア側はプログラムを書くことでUber EatsやAmazonに入社してからも、どんどん専門性が高まり高賃金化していく。
専門性にさらに磨きがかかり、より優秀なエンジニア、より所得の高いエンジニアになっていく。
しかし、新しい働き方を選んだ労働者は、10年経っても20年経っても自転車を漕ぎ続けなければならない。
賃金は上がらない。
誰にでもできる、すぐ始められる労働とは低賃金への道であり、誰にでも始めることができない専門性の高い労働とは、高賃金への道なんです。
中卒や高卒はこれが分かってない。ちっとも分かっていないんだ。
数学がなんの役に立つんだ!と彼らは言う。
自由に生きたいと彼らは言うのだ。
だけど何の専門性もない彼らは労働において本当に自由なのでしょうか?新しい働き方は自由ですか?
同じことしてるだけじゃん。コンビニ店員と同じだよ。
毎日同じことの繰り返し。同じ道をぐるぐる自転車漕ぐだけだよ。
それじゃ労働生産性が高まらないのだから、毎年お給料も変わらないよ。
新しい働き方の道を選んでしまっただけで専門性が一生高まらない。人生詰んじゃうんです。
素人プログラマーがハッカーやギーク、スーパープログラマーになって、同じ1時間で書けるコードの質と量が同じだと思っているんですか?
スキルが上がったらどんどん上達していくんだよ。高度なプログラムが書けるようになるんだよ。
同じ1時間なのに書くことのできるソースコードの量は増え、質はより高度化、高品質化及び省略化され、ものの3日でECサイトを作れてしまったら、賃金がどんどん上がってしまうんだよ。
一生懸命さが所得上昇の基準になっているんじゃありません。
社会は専門性が賃金上昇の基準になっているんです。
新しい働き方を選ぶ上で重要なことは2つしかありません。
1つは専門性が上昇するかどうかです。
エンジニアのように専門性が上昇することで所得は増え続けるのか。
高度な技術力を獲得できるのか。です。
仕事とはお給料をもらいながら技術力を獲得する行為です。
お給料をもらうことなんてむしろおまけでしかなくて、お金を稼げる技術力を獲得することが労働の本質です。
もうひとつは自分は替えの利く労働者なのか?
を常に考察することです。
替えの利く労働者は常に低賃金です。
コンビニ店員も警備員もUber Eatsの配達員も、すべて替えの利く労働者です。
替えの利かない労働者とは医者や弁護士や飛行機のパイロットであり、ほぼすべて高学歴の人間しか選択できない職業です。
高卒ではこれらの職業の全てを選択できません。
勉強とは自分の職業選択の自由度を高める行為なのに、俺は自由になりたい。
とか言って新しい働き方を選び、実のところそれはとても不自由で、自分で頭を使う職業ではなく言われたことをただ繰り返すだけの束縛された労働なのに、中卒や高卒はそれに気づいてない。
同じ道ぐるぐる自転車漕ぐことのどこが自由なの?全然自由なんてないじゃないですか。
そして彼らの一生懸命さを悪用して一握りの優秀な理系のエンジニアが
最低賃金以下で低学歴を酷使し、使い捨てる。これが新しい働き方の正体です。
ミクロ経済学の教科書通りに社会は動いています。
数学ほど金になる学問はないのに、そのことに誰も気づかない。
そして替えの利くお前の替えはいくらでもいるという職業に就き、一生専門性が上昇しない。
所得が増えず一生理系のIT企業に搾取され続ける。
これが新しい働き方です。
新しい働き方とは労働基準法ですら保護されない、最低賃金以下の労働形態のことです。
所得を一番高めるのは勉強です。覚えておきましょう。
所得の増えない新しい働き方なんてするくらいだったら自己破産してください。
そして破産後、生活保護を受給してください。
その後、中1の数学から勉強し、理系の国立大学、電気通信大学あたりを受験し、合格してください。
その後エンジニアになると新しい働き方時代の所得の3倍から5倍になります。
新しい働き方で労働者を酷使する側のエンジニアになります。
誰にでもなれる職業ほど低賃金であり、誰にでもなることができない職業ほど、入口は狭く高賃金な専門家です。
専門家になる道は、誰にでもなれる新しい働き方とは入り口から異なることを覚えておきましょう。