障害者新聞

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なぜBEAMSのリアル店舗はいつも人がいないのか?(前編)

以前、モノが売れるメカニズムについて執筆したことで、リアル店舗における行動経済学のエントリーを書けるようになりました。

今日のエントリーは「どういうときにモノが売れるのか?」を理解した上で、リアル店舗で起きている問題点を執筆していきます。

前編は「ミクロ経済学」の視点から、後編は「行動経済学」の視点から、リアル店舗で起きている現象をとらえます。

前提条件として「どういうときにモノが売れるのか?」の理解は必要不可欠な知見となります。それらの学習は「モノが売れるメカニズム」のエントリーにて執筆してあるので、このエントリーを読む前にご覧になっていただければ幸いです。

それでは、リアル店舗の問題についての私の考察【なぜBEAMSリアル店舗はいつも人がいないのか?(前編)】スタートです。

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30を越えたあたりから仕事ばかりで、服とかどうでもいいと思うようになりました。

服を選ぶくらいなら仕事しろや!!

と自分に言い聞かせているのですが、いつの間にか自分のクローゼットのなかにある服が半分くらい「BEAMS」というブランドの服になっていました。

なぜ、服の半分がBEAMSブランドになってしまったのか?

について最近少し思考していました。クローゼットの中身がBEAMSブランドの服ばかりになった最大の理由は、BEAMSの服が長持ちするからです。

他のブランドの服も持っているのですが、ネットに入れなかったり手洗いモードにしないで洗濯してしまうと、1度の洗濯で服がベロベロになってしまうのです。

びろーんと伸びてしまった軟弱な服は恥ずかしくて着れないので、捨ててしまうのです。

そのため耐久性が高く、頑丈なBEAMSブランドの服だけが5年間とか10年間とか着れるため、気がついたら半分くらいはBEAMSの服になっていたのです。

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BEAMSリアル店舗にはよく行きます。平日に行くこともあるし休日に行くこともあります。

特に平日はお客さんがいません。ガラガラです。BEAMSは他のお店と違って店員さんが喋りかけてこないため、お店の服を全部見ることができます。

ついでに店舗内のお客の数も見ているのですが、いつも人があまりいません。

これはBEAMSに限ったことではなく、リアル店舗は休日でないとお客さんはガラガラです。なぜ、お客さんが少ないのかを経済学を使って考えてみようと思います。

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まず第一にお客さんが少ない理由は、東京のリアル店舗よりもインターネットのECショップのほうが品揃えが良いため、リアル店舗に行く必要性が薄れていることです。

また、BEAMSのオンラインショップを閲覧すれば、どの店舗にどのアイテムが売っているのかが全部一目で見ることができてしまいます。

20年前インターネットが普及していなかった頃、原宿や渋谷の服屋さんに行くのは一大イベントでした。お店に行かないと

 『何を売っているのかが分からない』

というワクワク感がありました。電車に揺られてお店に着くまでどんな服が置いてあるのかが、まるで分からないのです。

だから服を買いに原宿へ行くのは私の一大イベントでした。前日の夜からドキドキワクワクで眠れませんでした。

いまはネットを見ればどの店にどのアイテムが置いてあるのかがすべて家にいながら把握してしまえるため、ワクワク感が全くなくなってしまいました。

つまり、リアル店舗に行く意味合いが薄れてしまったのです。

TUTAYAの社長が言うようにリアル店舗が生き残るためには「リアル店舗でしかできないことだけをするべき」であって、「インターネットでできることはすべてやらない」という明確なスタンスを採っている服屋は存在しません。

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東京ディズニーランドは、あそこは千葉ですが、東京ディズニーランドへ行かないと得られない臨場感と幸福感があります。

夢の国はあの場にいることに価値があるのです。

東京ディズニーランド内で夜のパレードを彼女と見ているとき、「また今年も楽しい生活を送ることができたね」という安堵感が得られるのです。

特にアトラクションに乗らなくても、夢の国には独特の雰囲気があって、その場にいられる幸福感という価値が入園料という価格を上回っているからこそ、お客さんがやってきて、お金を支払ってもいいという現象が生まれます。

リアル店舗の服屋さんは、その場にいないと得られない情報か、そこでしか入荷できないとても素晴らしいデザインの服を購入できるという価値を提供できなければ、今後はコスト競争力においてECサイトに淘汰されてしまうでしょう。

リアル店舗ネットでできないことだけをするべきなのです。モノの価値とはそのモノにだけ内在するわけではありません。

AKB48のCDはアイドルと握手ができるという価値(体験)がシングルCDの価格1,200円を上回っているから売れるのであって、CD自体に価値があるわけではありません。

それは東京ディズニーランドの提供する価値と同じで、モノに価値を見い出しているのではなく、体験が価値を生み出しているのです。

実際にリアル店舗のお店はガラガラで個人が経営している本屋さんも次々と倒産しています。

だけど、リアルのライブイベント(コンサート)は3年連続で過去最高の売上を更新しています。
raibu
出典:ライブ・エンタテインメント市場規模は過去最高記録を3年連続で更新! - ぴあ

ライブイベントの臨場感って、あの場にいないと味わえないものなのです!!

インターネットではリアルのドキドキワクワク感は味わえません。スポーツの世界もこれと同じで、スタジアムへ行かないと得られない興奮があり、インターネットはリアルの現実味において、実はいつも負けているのです。

人々は何に価値を見い出し、お金を支払うのかをリアル店舗の経営者は考えるべき時期が来ています。

後編へ続きます)