障害者新聞

目と耳の障害者が作った新聞です。社会の本質を書いています。

適切な価格戦略について

前回のエントリーでは物が売れるメカニズムを説明しました。
今回のエントリーはその続きで、「適切な価格戦略」について執筆していきます。

【適切な価格戦略について】

価格戦略において私たちがまずやるべきことは、「売上=価値-価格」の公式を完全に理解することです。そして、価値-価格が売上発生メカニズムであるならば、企業が利潤を生み出すためにやるべきことは2つしかないことが分かります。その2つとは

  • 商品の価値を高め価格を落とさない・・・①
  • 価値を落とさないで価格を安くする・・・②

の2つです。

典型的な日本の企業はどちらの価格戦略も採っていません
では、日本の企業がなにをしているのかというと「高付加価値戦略」を採っています。
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高付加価値戦略とは、機能(付加価値)の追加をすることです。
洗濯機、掃除機、テレビ、パソコン、全部高機能化を進めています。

画質を良くしたり、洗濯のモードを増やしたり、機能を付加しているのです。

テレビの画質を4K、8Kとほとんどのお客様にとってまるで価値のない機能を追加し、その分、価格を上げているため、まったく売れていないのです。

庶民から見たらテレビなんて映ればどうでもいいのに、無駄な機能を追加しているのが日本企業の高付加価値戦略です。

それに対して、アメリカの企業がやっている①は、この世にまだ生まれていない新しい快適さや便利さを追求した製品を生み出すことです。

i-phoneにしろWindowsにしろAmazonにしろ、ひたすら自社製品の価値を高めているのであって、多機能化を進めているわけではないのです。

日本でも熱さまシートのように、いままでよりさらに快適な生活を追及できる商品があります。

それらは「高付加価値」ではなく「新しい価値」を生み出している製品であり、非常によく売れています。

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いままでの生活では、熱を出した人には頭の上に水で絞ったタオルを乗せ、付きっきりで看病しなければなりませんでした。

それが熱さまシートの開発によって、発熱しても起きて一人でご飯を食べられるという「新しい快適な生活」を送れるようになったのです。

高付加価値戦略を採用した日本の製品がまったく売れないのは、製品の機能を増やしただけであり、また、製品の価値を高めていないからでもあり、経営者がこのミクロ経済学の初歩知識すら知らないで経営しているためです。

ティージョブズなき今のApple製品が高機能化に進んでいるのも、「新しい価値」を生み出せないでいるためです。初代i-phone以降イノベーションが起きていないのはそのためです。

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次に②の戦略について。

②は素晴らしい企業が日本にも存在します。
それがCanonです。

Canonの採っている価格戦略は、デジタル一眼レフカメラ市場において、同じ入門機の同一性能のカメラのなかで、Canonのカメラが一番安いのです。

Canonのカメラがもっとも売れている理由は主に2つあります。
一つ目は、この②で採用されたもっともコストパフォーマンスの高い製品をトップブランドであるCanonが販売していること。

もう一つの理由は、Canonのカメラがもっとも操作が簡単で、入門者にとって一番親切な企業だからです。

中級機においてはPentaxのカメラが一番コストパフォーマンスが高いですが、ブランド力がないため、あまり売れていません。

価格戦略においてやるべきことはたった2つ。
価格を上げずに価値を高めるか、価値を下げずに、価格を引き下げること(ニトリIKEAもこちら側)です。

だけど、この経済学の基礎原理すら行わずに経営している日本の企業は非常に多く、経済学を勉強すると、なぜあの会社が儲かっているのか?
また、なぜあの会社の商品が売れていないのか?

横一線にこだわる日本の企業の製品がなぜ売れないのかがよく分かってきて、社会の成り立ちが理解できます。

さらに会計学を勉強すると、企業収益を理解できるようになるため、決算書を読むことで企業の「経営成績」と「財政状態」と「お金の流れ」を理解することができるようになります。

これらを知ることは社会を科学できて、実生活がとてもおもしろく感じられるようになります。

この物が売れるメカニズムは今後このブログで基礎原理として使っていくため、早めに執筆しました。

これが理解できないと行動経済学が意味不明になるため、こういう研究が経済学においてなされているんだなあという参考程度に読み返していただけたらと思っています。