学力の経済学という教育経済学の本を読んだ。たぶんこれで7本目のエントリーである。
あまりにも多くなったため教育経済学のタグを作りました。一気読みしたい人は、ご覧になっていただければと思います。
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教育経済学を使って良い学校とはどんな学校なのか?
の定義をここに執筆しておこうと思う。良い学校とはどんな学校のことなのか。
偏差値の高い学校のことなのか?
違いますね。
ちょっとケースを2つ挙げてみます。
■2つのケース
- 偏差値62のA高等学校に入学した生徒は平均的に偏差値60の大学に進学した。
- 偏差値55のB高等学校に入学した学生は平均的に偏差値60の大学に進学した。
同じ偏差値60の大学に進学させてる2つの高校があるとき、みなさんはどちらの高校のほうが良い学校だと思いますか?
答えはもう出ちゃってますね。
良い学校とはその学校での在学期間中に子供の学力が伸びる学校のことです。
偏差値70の高校に入学し、偏差値70の大学に行ったって、あんまり意味はないんです。
子供が特に伸びたわけではなく、ただ単に優秀な子供をかき集め平均的な教育を施したから、同じだけ学力の高い大学に行けた。
ってだけです。
良い学校とは卒業時の学力が入学時の偏差値を超えている学校のことです。
基本的に人気の高い学校ほど偏差値が高いので、経済合理的に考えれば良い学校ほど偏差値が上がり、在学期間中に伸びる学校というのがないようにみなさんは思っていらっしゃるでしょう。
甘い。甘いですね。
んなわけないじゃん。それならなんで東大とか早稲田大学とか慶応大学とかの一部の学部の生徒が就職できない。
なんてことになるの?
卒業後の就職先や生涯年収が少なかったりする学部でも普通に人気ありますよね?
特に文学部とか。大学の名前がブランド化されてるから人気はあって、そのため、偏差値は馬鹿高いけど、卒業後に高所得な進路がほとんどない学部っていうのが普通にありますよね。
つまりは、入学時は東大に行きたいとか慶応大学に行きたいとかそんな人達ばっかであり、その学部を卒業したあとの卒業後の就職先や生涯年収まで考えて入学してくる人なんていないのです。
だからちゃんと入学したときより卒業したときのほうが学力が伸びている学校っていうのが、実際に存在するわけです。
私が知ってるのだと
あたりですかね。
入学したときの偏差値に比べて卒業したときの進路が(理系学部に限るが)大手の大企業に就職できたり、
偏差値が東大や京都大学より低いのに普通にノーベル賞受賞する科学者を排出してたりする大学です。
大切なのは入学するときの偏差値じゃないんだよ。
卒業時の専門性であり、その専門性が高く売れるか(高い給料を貰えるか)なんだよ。
工学部だと不人気だから偏差値恐ろしく低いのに、卒業時に企業の人事部がわざわざ大学まで訪問してきて就職活動すらしないで内定してしまうのだ。
大切なのは入学したときの学力が在学期間中にどれだけ伸びたのか?
その伸び率の高さこそが良い学校の定義なんです。
ちなみに、倫理観は統計的に有意なデータが取れていないことが分かっています。
つまり、偏差値の低い学校だけど思いやりや人の心を大切にする教育をする学校という例外的な教育機関は存在しない。
ってことです。
学力を伸ばしてくれる優れた学校の先生はただ単に学力だけを伸ばすのではなく、10代での望まない妊娠をする確率を下げ
生徒の大学進学率を高め、さらに生徒の生涯年収すら高めてくれる。
これはハーバード大学のチェティ教授が20年間にわたり100万人の小・中学生を追跡し、大人になった後の納税者記録を用いて行った研究データです。
アメリカでは学力を伸ばしてくれる学校こそが良い学校。という定義を確立させるために、20年掛けて研究データを取得しているわけです。
怖ろしい国家ですね。日本はこういうことしませんので。
だけどその定義はどの国でも使えますので、こうして私もブログを執筆しているわけです。
優れた先生とは子どもの学力を伸ばしてくれる先生。
優れた学校とは入学したときの学力及び偏差値よりも、卒業時の学力及び偏差値のほうが高い学校のことです。
大学の場合は入学したときの偏差値に比べて卒業時に社会に必要とされる専門性を獲得できる大学。
もっと具体的に書くと、教養ではなく、企業から引っ張りだこの高い技術力を獲得できる大学及び学部のことです。
まあ、医師利権のある医学部を除けば、工学部が最強ってことですね。
工学部は偏差値低いけど就職には困りませんので。ほぼ高所得者確定学部ですので。
モノを作る専門性を学ぶ学部ですから、当たり前です。
そのモノを販売して企業は売上を獲得しているのだから。