奇跡の経済教室(著者:中野剛志)という本を一気読みし、読了した。
ここ5年ほどでベストの経済学書だった。
☆☆☆
正直感動したし、私はマクロ(国家規模)で日本をあきらめている人間なのだ
が、あきらめていない人たちがいることに対して感銘を受けた。
こんな人たちがいるんだなって思った。
この本は基礎知識編と戦略編合わせて上下2冊。合計で686ページもある。
はっきり言ってどっちも読むべきだし、この2冊をもし全国民が読んだら
日本はマジで変わると私は確信している。
難易度がそれなりに高いし、マクロ経済学の基礎知識がないと6-7割しか理解できないと思う。
しかし、そうであってもだ。これは読むべき本なのだ!
5年に一度のベスト・オブ・ベスト経済学書と言って良いだろう。
日本を不幸にしてきた人たち・原因・黒幕・イデオロギーのすべてが書いてある。
特に下巻の最後に書かれていることは、この国を、そして世界を不幸にしてきた諸悪の根源であり
世界の本質が描かれている。
安倍総理はコロナ禍が発生した2月初旬、ぶっ続けで9日間連続で宴会を開いていた。
ソース
■夜の宴会「いけないことなのか?」
出典:毎日新聞(https://mainichi.jp/articles/20200228/k00/00m/010/313000c)
宴会相手は民間企業の経営者である。
主にメディア企業の経営者たちと会食していた。
政治家にとって富裕層との会食とは心地良いものだ。
なぜなら選民性があるからである。
自分が消費税10%法案を可決すると、日本全国すべての小売店がそれに従う。
どこのスーパーに行こうとも、10%の税金を徴収する社会へと変貌を遂げる。
自分が日本を統べている全能感・優越感がある。
それは民間企業経営者も同じである。
そして彼らは総理にこう言うのだ。
国際競争力を着けるためにも日本は法人税を減税すべきだ。
世界に冠たるメイドイン・ジャパンを取り戻すためにも、法人税を下げ、企業を強くし、グローバルからの果実を獲得すべきだ。
この国をより強くしなければいけない。グローバル化は待ったなしだ。
時計の針を元に戻してはいけないし、戻すべきでない。規制はすべて取り払うべきだ。
と言うのだ。
その結果私たちの国はどうなっただろうか。
法人税が43.3%から23.2%へと約半分になり、その穴埋めのために消費税が5%から10%へ2倍になった。
ソース
■日本の法人税推移
出典:財務省ホームページ(https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/corporation/c01.htm)
…消費税は社会福祉財源に使うと言っておきながら、法人税の穴埋めのために使われることになった。
その分消費税が増税されたため消費が減り、日本はデフレになった。モノが売れなくなったのだ。
デフレ下では物価が下落し、それ以上に日本人の賃金が減り続ける。
消費税を上げれば上げるほどデフレによって労働者の賃金は下落する。
そのため、企業は、特に輸出企業は大喜びである。
労働者の賃金が減り続けた分、利益が増えたためである。
法人税は43.3%から23.2%に下落した。
なのにグローバル企業はちっとも日本にやってこない。国民は貧乏なままだ。
はっきり言ってしまうと、経済産業省のレポートを見る限り、法人税は0%にして
も、日本にグローバル企業はやってこない。
AppleもGoogleもAmazonも日本にアジア本社なんか置かない。
なぜか?
なぜなら企業が現地法人を選定する際、最重要視する要素は法人税率ではないためである。
法人税率は5位以下だ。
ソース
■現地法人を作る投資決定のポイント
出典:経済産業省PDF資料23ページ目(https://www.meti.go.jp/press/2019/05/20190515004/20190515004-1.pdf)
1位は今後商品需要があるか?である。
つまり作った製品が売れ続けるかどうかが現地法人を作る際の最重要ポイントであり、経済が発展成長し所得が増え、そして人口が増える国かどうかが重要なのだ。
消費税を5%にした1997年から23年間賃金が減り続け、おまけに人口も減り
出店すれば毎年賃金減と人口減のため売上高が減り続ける国に、誰が現地法人を設立したいだろうか。
利益が出なければ税金を支払えないのだ。税率の低さなど無意味である。
まるで優先されていない。
法人税0%でも少子高齢化社会の日本に現地法人なんぞ建てる経営者はいないのだ。
利益が出る以前の問題であり、人口減少により売上が今後減り続けるのだから、出店しても赤字幅が拡大するだけである。
よって衰退国日本に現地法人を設立するのは百害あって一利なしなのである。
そして企業経営者は宴会中安倍総理にこうささやくのだ。
日本企業が国際競争力を着けるためには人材のグローバル化が必要不可欠だ。
移民を積極的に取り入れ活力ある日本にしなければいけない。
と言うのだ。
入国管理法を改正し、移民を日本に入れる法案を政府自民党は可決した。
移民が入ってくると日本はどうなるのか。
外食産業、たとえば大戸屋や吉野家やスーパーのレジ打ちの店員として外国人労働者が採用される。
日本人の学生が吉野家でアルバイトしようとすると、お前の替えはいくらでもいる。
お前は努力が足りない。
最低賃金で働こうとしない勤務意欲の低い人間はお断りだ。
と言われるのだ。
つまり益々賃金は減り続ける。
日本人を外国人労働者と競争させることによってだ。
人手不足だった国内労働市場が、外国人労働者の流入で人員過剰になり、最低賃金でも働きたい。という労働者だけ仕事を得られる。
よって賃金は益々低下の一途を辿り、若者の貧困化は悪化し、結婚できず子供は減り
人件費が削減されるから企業利益は増え、株価は上昇し、GDPも増える。
株価が上昇するから富裕層は益々豊かになり若者はずっと貧しいままだ。
すなわち格差が拡大するのだ。
黒幕の正体。それはグローバル化なんだよ。
グローバル化は日本人メリットすら取り払う。
ユニクロができたあと日本の縫製企業はすべて倒産した。
保護しなかったためである。
国内の工場は既に廃墟であり、新規に縫製業を営む企業は出てこない。
しかし、逆に、1980年代まで日本の自動車産業は保護され続けた。
当時の超優秀な日本の官僚によって一切外車を日本に入れさせなかった。
よって1億3000万人という巨大市場を日本の自動車業界が独占することで
トヨタ自動車、本田技研工業、日産という世界に名だたるグローバルで戦える最強の自動車製造業が生み出されたのだ。
規制を取り払うと強くなる?違うね。逆だよ。規制が日本の企業を強くしたのだ。
1億3000万人の巨大市場を日本車が独占することで、大量生産と低価格化・高品質化を実現した海外で戦える強靭な自動車メーカーが国内で生み出されたのだ。
自動車産業を官僚が保護したから世界市場でいま戦えている。
改革派の政治家は構造改革は待ったなしだ!
と言う。
その抵抗勢力と戦う改革派の新人議員を「刺客」と呼んで選挙でメディアはもてはやしてきた。
その結果どうなったか。
正社員制度を守る議員すらも抵抗勢力と位置付けられ、規制が取り払われ、日本人の賃金は23年間も下落し続けた。
規制を守り国民の生活を保護していた旧保守の政治家たちが
古い政治家だと言われ、入国管理法が改正され、労働市場がグローバル化され
日本の低賃金労働者がそれよりさらに賃金が低くても一生懸命がんばる外国人労働者に職を奪われた。
競争が激化し、お前の替えはいくらでもいると言われる。
日本の労働者は、生活保護者よりさらに低い賃金で働くことを余儀なくされてきた。
特にアルバイトに勤しむ日本の若者と非正規社員たちがだ。
規制を取り払われた人たちの犠牲の上に、富裕層は豊かな生活を送っているのだ。
改革派?構造改革は待ったなし?
違うね。そんなの欺瞞。欺瞞だよ。誰も保護しなかったら小学校の600人の生徒にたった一人だけ神童が生まれる。
その神童が、大人になり、一人だけ資産1兆円を突破する。そして、残り599人がその人が考えたマニュアルを見るだけで
働く単純作業労働者になり果てる。
規制がないと格差が生まれるんです。
いまアメリカで起きていることがそれだ。
アメリカでは新型コロナウイルスによる不景気で3週間で実に1600万人もの人が職を失った。
単純作業労働者は能力が低く法によって守られていないから、すぐ解雇されるのだ。
だが、日本はそうなっていない。なぜか?
なぜなら、日本には正社員の解雇規制があるからだ。
実はみんなを守っていたのは、改革派の政治家からそしてグローバル化の波から
みんなを保護していたのは国の規制だったんだよ。
本の内容はそんな感じです。
大変に凄まじい本のため、この目から鱗が落ちる奇跡の経済教室の内容を
読書感想文形式にするかまだ決めてないけど、5本くらいのエントリーで書き上げていけたらなと考えています。
ていうか、私の記事なんか読まないでこれは買いましょう。
国民一人1冊ずつ買うべきです。
この本はおすすめの本であり、衝撃の書籍です。特に下巻がヤバいです。
Amazonレビューで発狂してる人いますが、あれマジです。私も読んでて感動しました。
ていうか、5つ星多すぎ。黒幕の正体についても、ここでは具体的には書きません。
是非本を買って読んでみてください。