障害者新聞

目と耳の障害者が作った新聞です。社会の本質を書いています。

なぜ、一律10万円給付に富裕層は反対なのか?

政府自民党は緊急事態宣言による対策として一律10万円給付を決めた。



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ツイッターはバカが多く、自粛と給付はセットでとかほざく輩が大半を占めており

私は少し驚いていた。


ミクロ経済学的な話になるが、緊急事態宣言以降の自粛要請によって、飲み屋も居酒屋もゲームセンターも閉店している。

通常営業しているところは少ないのだ。


ディズニーランドもユニバーサルスタジオもカラオケボックスも店を閉じている。

スーパーとコンビニ以外、実店舗はほぼ閉まっている。


よって人々はお金を使う機会がなくなってしまい、貯蓄はむしろ増えているのだ。

なんで国民の貯蓄が増えてるのに一律に10万円も配るのか。

困っている人、苦しい苦しいって言っている人に、配ればいいんじゃないの?


厳密には破産しても生活保護制度があるから全員死にはしないけど、どうせ配るなら飲食店経営者とか、実店舗で被害受けてる人たちだけで良いのでは。

というのが私の考えだ。


そして富裕層は、ツイッターなどで給付しろ!という貧乏人のツイートに対して、猛反対している。

現金給付などは浅ましいと彼らは言うのだ。


高須クリニックの院長さんもツイッターでばら撒きを批判していた。

なぜお金持ちは一律10万円給付と言うばら撒きを批判するのか。


マスコミはマクロ経済学を理解していないため、この謎を解き明かそうとはしない。

不勉強のため、分からないのだ。なので私が解説する。


たとえば富裕層は新自由主義が好きだ。

新自由主義とはお前が貧乏なのはお前の自己責任。という政治思想だ。


いまの安倍総理が入っている派閥である自民党細田派がこれである。

小泉元総理も自民党細田派のため新自由主義者だ。


そのため派遣社員や派遣切り、非正規社員契約社員などと言う言葉が生まれ、貧乏人が大量に生み出された。

なんで金持ちは規制をすべて取り払うことを是とする新自由主義を好むのか。


富裕層が新自由主義を求めるのは、労働者を保護する規制を取り払い、低賃金非正規社員を大量に増やして、より多くの企業利益を求めるからである。

彼らは資本家層なのだ。


資本家、たとえば、企業の経営陣や投資家は利益が増えれば増えるほど、報酬が増える仕組みになっている。

従業員を簡単に解雇できればできるほど利益は増え、規制を取り払えば取り払うほど儲かり


役員報酬も株価も配当金も増えるのだ。

だから規制を取り払いたいと、非正規社員をもっと増やしたいと思っているのだ。


人件費をカットすればするほど株価は上がり、その株価が報酬の経営者や投資家は儲かる。

つまりはゼロサムゲームということになる。

全部足すとゼロになる。他人の給料を減らすと自分の儲けが増えるのだ。


これくらいはゲーム理論と株式市場(特に米国株式市場)の個別株の株価の推移をみているとよく分かる。

大量リストラが成功するとその会社の株価が上昇するからだ。


さて、給付金についても説明する。

一律10万円給付ならば貧乏人も富裕層も10万円もらえる。しかし一律に給付すると、富裕層ばかりが大損するのだ。


日本国内の市場に流通しているお金の総量をマネーストックと言う。

説明を簡略化させるため、国内に流通しているマネーストックが100億円だったとしよう。


そこに政府が紙幣を刷って、要はヘリコプターマネーでばら撒きをし、皆に金を配り、100億円増やしたとする。

するとどうなるか。


市場に流通しているお金の量が2倍になる。よって物価も2倍になり、給料も2倍になる。

政府が一律10万円給付するということは、国内に流通するお金の量がこのように増加するということだ。


市場に流通する金が2倍になると、サラリーマンの給料が月20万円だとしたら翌月から40万円になる。

しかし物価も家賃も2倍になる。


簡略化するため小さな金額で説明しているけど、

実際に市場に流通しているマネーストックは2020年3月において1046兆円なのだが、ばら撒きはこれを増やすということになる。


財政出動によるばら撒きでマネーストックが2倍になると、物価が2倍になり、給料も2倍になる。

物価が2倍になるということは貨幣の価値が2分の1になるということだ。


それまで1本120円だった缶ジュースが、1本240円になるということだ。

誰も損をしていないように見える。しかし実は違うのだ。


ここにはもんのすごく損をしている人たちがいる。

ばら撒きで一番損をしている奴等。それは富裕層なんだよ。


なぜかわかるかい?

なぜなら、さっきも言ったように、貨幣の価値が減るからだ。


市場に流通している金が100億円だったとして、それが200億円になったとしよう。

100億円のばら撒きだ。


すると貨幣の価値は2分の1になる。

それまで120円だった缶ジュースは240円になる。


貨幣の価値が2分の1になったから、購入するには2倍のお金が必要になる

もしある富裕層が10億円の預金を持っていたとしよう。


その富裕層は10億円の価格の別荘を来月買おうとしていた。

しかし、ばら撒きによって、別荘の価格はいくらになっただろうか。


缶ジュースが2倍になったように別荘の価格も10億円から2倍の20億円になるのだ。

つまりばら撒きはインフレ(貨幣価値の減耗)を生む。


インフレは貨幣価値を低下させてしまうのだ。

この場合だと貨幣の価値は半分になる。


富裕層の預金は物価が2倍になることで価値は2分の1へと減耗してしまう。

缶ジュースの価格が2倍になったように別荘の価格も高級外車の価格もすべての価格が2倍になる。

それは逆説すると、貨幣価値が2分の1になったということだ。


だから富裕層の預金の価値も2分の1になる。2倍のお金を出さなければ別荘も高級外車も買えなくなる。

富裕層の資産が、ばら撒きによって半分消し飛んだということである。


それを彼らは嫌がっている。すごくすごく嫌がっている。

貧乏人は貯金がほぼないから、その貯蓄が半分になっても痛くも痒くもない。


しかし貯金10億円の富裕層は物価が2倍になると、資産の半分(5億円が)、消し飛んでしまうことになる。

これをインフレ税と呼ぶのである。いつの時代も、彼らがばら撒き大嫌いなのはこのためである。


プライマリーバランスの堅持、消費税増税財政再建と言っているのはここ70年間ずっと富裕層だけである。

その理由はインフレ税が嫌だから。自分の貯蓄が減るのが嫌だからなのだ。

(おしまい)