現実を逃避して、異世界で人生をやり直すストーリーの小説たちです。
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たとえば、「異世界居酒屋のぶ」では、日本にある誰もお客さんが来なくなってしまった「のぶ」という居酒屋が偶然異世界に転生してしまいます。
日本ではもう低所得者しかいないので、居酒屋のような単価の高くて一度行くだけで1,000円以上支出してしまう店舗形態では、人が集まりません。
吉野家や松屋の様に牛丼一杯290円からのお店に競走で負けてしまうためです。
どれほど美味しい料理を提供していたとしても、ミクロ経済学の知見では人間は収入の範囲内でしか支出しない(できない)ため、美味しい料理が食べたくても高くて食べられないのです。
そんため「のぶ」は倒産してしまったのですがそれが偶然にも異世界に転生し、古都アイテーリアで営業を営むのが異世界居酒屋のぶのストーリーとなります。
異世界では銀貨や金貨が通貨となっているため、美味しい食べ物をお客さんに提供し、貨幣を貰ったら、それを現代の質屋へ持っていき日本円と換金します。
その日本円で美味しい食材を日本で購入し、その食材をまた異世界の住人に振舞って、お店はどんどん繁盛していくのです。
おもしろいのは他の異世界ものもそうなんだけど、生活が充実したあとまた現代日本でやり直そう。再挑戦しようとは誰も思わないところにあります。
むしろ、現代日本を見捨てて、自分を評価してくれた異世界の人たちにもっともっと美味しい料理を振舞いたい!というストーリー展開となるため、
このライトノベルを書いているそして読んでいる日本人の若者はもう誰も日本なんか見ていないということが分かってしまい、こういう本が大ヒットする社会現象に恐くなって、私は驚愕してしまうのです。
いずれはこの国を豊かにしよう!ではなく、もう日本なんかどうだっていいから、異世界で快適な暮らしを続けよう!
という、とんでもストーリー展開が読んでいて現代の若者の末恐ろしさというか、日本を見捨てようとしているところに恐怖を感じるのです。
彼らからすれば、20歳から60歳まで40年間年金を強制的に支払い続けるのに、受け取れるのは75歳か80歳からとなり、死ぬ前の2-3年間受け取るために40年間搾取され続けるのが確定しています。
しかも日本の65歳以上の平均貯蓄額は2,000万円を越えているのに貯金が50万円に満たない若者から月々4万円も年金を搾取しているのです。この国の年金制度は狂ってます。
支払った金額の半分以下いや3分の1以下の年金しか受け取れない事実を理解して生きている今の若者がライトノベルを執筆しています。
そして読み手もほとんどが若者なのです。日本の若者はほんとうに搾取されていて、この国の大人はそれを放置しているのです。
いまにもんのすごいしっぺ返しを食らうんじゃないかなと、形而上学的(循環論的)に私は考察しています。
その怒りや怨嗟がオレオレ詐欺のような犯罪グループではなく、優秀な若者全員で海外移住がブームになってしまうんじゃないかと危惧しているのです。
そしたら年金を受け取る大勢の高齢者だけがこの国に残り、年金を支払う若者(労働者)が誰もいなくなる社会が成立します。
末恐ろしい社会になったものです。
もう少し若者の気持ちになって国作りをしないと、この先とんでもないことになると私は考察します。