障害者新聞

目と耳の障害者が作った新聞です。社会の本質を書いています。

刑務所から出所した障害者の進路について

累犯障害者山本譲司著」のなかに犯罪を犯した障害者が刑期を終え、出所後の進路が載っていました。


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山本譲司さんが刑務所のなかで障害者と仲良くなったため、出所後仲間の進路を調べていたのです。


その、出所後の進路はこちらです。


■犯罪を犯した障害者の出所後の進路

これはルポタージュのため、すべて日本の「実話」です。

山本さんが刑務所内で仲良くなった障害者の受刑者は出所後全員が家族からの受け入れを拒否され、福祉施設地方自治体の障害福祉課からの援助を拒否されています。


さらに、生活保護は住所がないと受給できないため、出所後住所のない彼らは、水際で全員が生活保護を拒まれています。


一番生活保護の必要な元受刑者という極めて社会的に辛い立場の人々が、もっとも生活保護を受けなければ、自殺するか再犯して刑務所で面倒みてもらう他ない人たちが、生活保護を受けられないのです。


地方自治体はこうやって制度を自分たちの良い様に作り変え、水際防衛を行い、経費削減をしているのです。

これを彼らは「福祉の効率化」と呼びます。


知的障害者は人を殺すことが悪いことだということを知りません。軽度知的障害者ですら精神年齢は9歳から11歳未満なのです。


人をナイフで刺すのが悪いことだということを彼らは知りません。善悪の区別が理解できないためです。


それを利用し、ヤクザは彼らを鉄砲玉の使い捨て要員として重宝しています。


日本の福祉は受身です。複雑な手続きに耐えられた障害者だけが障害手帳や障害年金を取得できます。


そのため、知的レベルが10歳前後の軽度知的障害者は、複雑な手続きの福祉サービスを受けることができず、しかも福祉施設がどこにあるのかも、生活保護制度が日本に存在することすら知らない人が大勢います。


こうやって日本では水際で何としてでもサービスを提供したくない、歳出を障害者に支払いたくないという強い意志が働き、知的障害者が社会に流出し、度々彼らが犯した殺人事件がレッサーパンダ帽の殺人事件の様に報道され、容疑者が障害者だと分かると、報道を深化させたくないマスコミは報道をストップさせ、事件は闇に葬られるのです。


ある受刑者は刑務所に収監されこう言います。「俺は生まれてきて、ここが一番暮らしやすいよ」、と。


塀の外の社会、つまり日本社会は彼らにとっては実に生きにくい地獄であり、福祉は受身のため水際で障害者のサービスを妨害及び疎外し、


職場では差別と暴力が待っていて、レッサーパンダ事件の容疑者のように前歯を健常者に殴られすぎてすべて取れてしまい、そして刑務所に収監され、ここが一番幸せな場所だ。


もうあの地獄には塀の外には戻りたくはないよ。と、みんな口々に言うのです。


すべての家族と福祉サービスが受刑障害者を受け取り拒否するため、彼らはまた刑務所に戻ってくるという悪循環。


すべての福祉サービスが見放した、落ちに落ちた先の楽園、それが刑務所なのです。


それほど、障害者の元受刑者に対して日本の福祉は嫌悪感を抱いており、自分たちの福祉メニューにないものは、特に犯罪を犯した人間には人権なんてないと思っているため、


福祉サービスを提供しないでまた軽犯罪を繰り返し、そして収監されていくというのが日本の累犯障害者の実情なのです。


累犯障害者-山本譲司著」は、日本の福祉の受身サービスと水際防衛がよく記述された名著だと思います。


その悪循環を、何度も刑務所へ出たり入ったりを繰り返す悪夢が凄まじい高次な文章力で執筆された障害者文学の頂点とも言うべき名著なのです。


名書中の名書ですので、絶版され入手は困難ですが、お薦めの書籍です。