前に「企業が帝国化する-アップル、マクドナルド、エクソン~新しい統治者たちの素顔-」って本を読んだ。
☆☆☆
そんなにおもしろい本ではなかったため、全部は読まなかったけど、最後のほうまで読んだ。
そこに、PanasonicやSONYの製品は日本でヒットしても、世界全体での大ヒットはしない。なのに、なぜApple製品は、利益率70%のゴミなのに世界的大ヒットを博しているのか?
の答えが書いてありました。
元Appleの社員が社内事情を書いてくれているため、大変貴重な情報で、勉強になりました。
自社製品が世界的ヒットを生むかどうかは、企業のデザイナー部門がグローバル化されているか、されていないかの違いなんだそうです。
日本の大企業のデザイン部門は日本人がほとんどで、外国人が1人とか2人いる程度です(見たこと無いので比率は分かりません)。
Appleのデザイン部門はインド人、イラン人、スペイン人、韓国人、ブラジル人、日本人、フランス人、ロシア人と、もうどこの国の企業なのか分からないんだそうです。
んで、スペイン人とフランス人で新規iphoneのデザインを設計したとします。すると、インド人デザイナーやブラジル人デザイナーが、そのデザインだと私達の国の人たちから見てオシャレじゃない!って意見をくれるんだそうです。
次に日本人とロシア人がデザイン設計して発表したときも、やっぱりスペイン人デザイナーがそれじゃウチの国では流行らないよ。ここのデザインをもっとシンプルにしたほうがいいよ。とアドバイスしてくれるんだそうです。
つまりデザイン部門がグローバル化しちゃってるから、そのデザイン部門で納得の行くものができあがると、世界全体で大ヒットを起こすことができる!
という、なんか当たり前なんだけど、そんな発想日本企業には全然なかったなって仕組みがAppleにはあるんだそうです。
日本企業が海外で苦しんでいるのは、真にグローバル化(世界化)できていないためです。
インドに法人を設立する際にも、現地法人の一番偉い人を日本から出向させた日本人にするし、最終的な決断も日本人が握っているし、なによりインドの生活習慣の分析を現地へ出向した日本人社員が行わないため、日本で流行った流行と同じものを海外に持ち込むからいつも失敗する訳です。
たとえば、サムスン電子はインドの文化・生活・習俗をまず徹底的に分析します(現地インド企業の製品を部品単位でバラバラに分解して調査することも、日本企業にやったようにしていると思います)。
そして、現地の人たちに最適化した冷蔵庫や洗濯機を開発しているのです。日本企業の場合、日本での売れ筋業品と同じように多機能でインドの人がまったく使わない機能にまで「これが先進国の日本でもっとも売れた製品だから」という彼ら独自の成功体験を信じて、インドで販売するから売れないのです。
現地法人なんだからインド人の意見聞けっつーの!とたまに思います。要するに、インドに法人を設立しただけのコテコテの日本企業なのです。グローバル化できてないってことです。
その点、Appleのデザイン部門はもうどこの国の企業なのかまるで分からないほどの多国籍化がなされているからこそ、世界全体で大ヒットする製品を生み出せるんだ。と書いてありました。
なるほどな。と思いました。
Apple社がおもしろい企業風土だったため、ここに執筆し、記録として残しておきます。