最低賃金法を廃止すると、どんな社会になるのか。
その解答は、「失業率の低い社会」です。
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最低賃金法をなくすと、失業率が低く、そして求人の多い社会になります。
本来時給500円や600円では、最低賃金法に抵触するため求人を出せませんが、それが出せるようになります。
また、失業者100人のうち5人とか10人はそういう時給であっても、とにかく働きたいという人たちがいますので、失業者が減り、生活保護者も減少し、国と地方自治体の歳出も減少します。
ただ、時給500円とか600円だと、健康を維持するのも厳しいくらいの生活水準のため、70歳や75歳で時給500円で労働する極貧の労働者も現れます。
そして、時給500円で労働させるということは、それだけ利益が出ることと、資本家が有利な立場に立てるため労働環境が悪化し、過労死が増加し、その分、価格が低下する社会となります。
まとめると、
■最低賃金法を廃止した場合の利害関係者の構図
- 国と地方自治体・・・歳出が減るため得をする
- 消費者・・・価格(物価)が低下するため得をする
- 労働者・・・労働環境と賃金が減少するため損をする
- 子供・・・生活水準が落ちるため生まれにくくなる
という社会です。
75歳のおじいちゃんが時給500円で労働する、場末の定食屋やチェーン店などが低価格を売りにした商品を多数開発する社会と言えます。
良いこともあるし、悪いこともあります。賃金水準が低下するため子供がより生まれにくくなることが一番問題ですが、失業者が減少することと定食屋の価格が低下することが一番のメリットと言える社会が到来することになります。
経済学ではこういう現象のことを「トレードオフ」と呼びます。経済学では「何かを得れば何かを失う」ということを意味しています。
経済政策にはいい面もあれば、悪い面もあるということです。いまより低賃金労働者が増えるのだから、貧乏人が増え、生活保護者が減少するため、たくさん税金を納める側の資本家が有利になるのは確かです。