障害者新聞

目と耳の障害者が作った新聞です。社会の本質を書いています。

できないじゃない。やるんだよ!!

「できないじゃない。やるんだよ!!」この言葉は、以前働いていた職場の上司が私におっしゃった言葉です。

一見するとブラック企業でよく使われそうな言葉です。

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正社員のサラリーマンが非正規社員のサラリーマンと異なる部分は何か?それは、「問題解決能力があるかどうか」です。


非正規社員のサラリーマンは、上司から言われたことだけをやればお給料が貰えます。


だけど、正社員の場合は、とりあえず「我が社のサイトを改善してくれ」とか、「入力フォームからの売上を2倍にしてくれ」と言われるだけであり、どうやってサイトを改善していけばいいのか?


また、どうやって入力フォームから売上を2倍にできるのか?などの詳細なやり方は当然上司も部下も誰も分からないところから、自分で考えて仕事をすることになります。


そのため、正社員の場合は手取り足取り入力業務やら書類整理やら会議室予約やらの単純作業を教えてもらいながら、やり方の分かってるものをやるのではなく、誰もやり方が分からないものを手探りでやっていくことになります。


そして、これで成果を上げることができると「現場経験」というスキルを取得することができ、転職時に「自社サイトからの売上を2倍にしました」などと職務経歴書に執筆することができるため、転職するとお給料がとても増額されます(経験者談)。


なので、上司が言うとおり、正社員は「できない」ではなく、「職場の誰もができないことを、やらなきゃいけない」。


それをすることで、大量の挫折経験を積み重ねながらも、ネットで調べたり参考書を読み漁りながらプログラムを書いて成果を上げ続けることで、職場で自分にしかできないことを増やしていき、お金を稼ぐスキルを高めて行くことになります。


これが労働者としての成長であり、企業がもっとも欲しがる「現場経験」であり、「問題解決能力」です。


正社員になったばかりの頃、そんなことも知らなくて、私はこの上司の無理難題が大嫌いでした。


だけど、私が放り出した仕事を上司が図書館で借りてきた参考書を読みながらプログラム書いてるのを見て、私はとても恥ずかしい気持ちになりました。


自分の仕事を放棄して、上司に尻拭いされて、自分は休憩所でダラダラしていたからです。


人として負けたと思いました。だって、その仕事は私も上司もやり方が分からないものだったから。


私は小器だって思いました。自分は小者であり、感情で動いている動物みたいな生き物だと自分を恥じたんです。


私は「分からない」で放り出したのに、上司は分からない、だから調べて分かるようにしてしまおう!と生産的に問題解決してしまったからです。


だからこそ、その後の自分の労働者人生においては、「人ができないことをやる」。いまは私もできないけど、調べればできるようになるはず。


いまはまだちょっと無理だけど、たぶん1ヵ月後には問題を解決できてますよ。と言える様になったのです。


分からないからこそ、自分で調べる癖を身に着け、調べながら現場で失敗の山を積み上げながらも、できるようにしてしまうスキル。


これが問題解決能力であり、できる労働者の必須スキルだといまでは思ってます。


できなくてもとりあえずは、やってみる!やってくれないか?と言われたら、やり方は分からないですけど、とりあえずやってみますよ。


と言ってしまい、あとは暇なときひたすら人に聞きまくったり、ネットや参考書や専門書で調べまくって、何度も挑戦してみる。


これを反復することによって、労働者としてのスキルがメキメキと成長していき、出来ることがどんどん増えていくことをその後の私は知ることになったのです。


できない仕事を上司から振られても、いまはまだ出来ないけど今のこの成長ペースでスキルが上昇していけば、たぶん1ヵ月後にはできるようになっているだろうと思い、とりあえず、仕事を貰っておく。


で、その後は四六時中その仕事について考えている。そうすると、いつの間にか書けなかったプログラムが書るようになっていたり、入力フォームのデザインを何度も修正し、改善していくことでどんどんデザインが良くなっていき、お客様に使ってもらいやすくなっていったりと、自分のスキルが成長していることを自覚するのです。


こうやって労働者は仕事上の「私にしかできない専門性」を積み上げていき、どんな会社からも欲しがられる優秀な人材となるべく、前へ前へと進んでいくことになります。


とても素晴らしい上司であり、いまでも尊敬していて、彼が言ってくれた通り、「とりあえずできなくてもやってみる」がいまの私の仕事スタンスとなりつつあります。


上司の言葉は理不尽だと怒り狂ったりせず、どういう意味なのか思考する必要があると思います。


私を信頼してその言葉を使ってくれている以上、こちらもその期待に応えたいと思いますし、信頼関係がないと日本の職場で仕事をするのは不可能です。


向上心を持ち、いまはできなくても、とりあえずやってみる。まずはやってみる!という癖を身に着けておくと、どんどんスキルが上昇していきます。


おすすめの労働観ですっ!