前にぼんやりと哲学して、何もないところから論理を組み上げていたことがあります。
だらだらとツイッターを眺めていたら、「残された最後の既得権益職業が医者だ」というツイートがあり、なるほどなと思いました。
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このツイートについて検証したく、私はサラリーマン時代に習った、「トヨタ式なぜを7回繰り返せ」という本質追求メカニズムを開始しました。
なぜ、医者は既得権益職業と呼ばれるのかについて、知りたかったためです。まず、なぜ、医学部は偏差値が高いのか。
日本大学の工学部(土木工学部)は偏差値35なのに、医学部はなぜ偏差値が65もあるのか?
その理由は、受験生がみんな医学部へ行きたがるため、どの大学でも人気のある医学部は、相対的に偏差値が高くなるためです。
これは日大に限らず国立大学のすべてにおいて医学部だけ突出して偏差値が高いし、他の私大である慶応大学も近畿大学も、医学部になると軒並み偏差値が突出して上昇します。
そもそも、医学部は合格倍率が50倍を越える大学さえ存在し、50人受けて合格するのが1名のみであり、残りの49名は全員不合格です。
では、なぜ医学部は、こんなにも人気なのか?
その理由は、残された最後の既得権益職業であり、「利益確定職業」だからです。
勤務医の平均年収は1,000万円から2,000万円であり、これは日本人の平均年収である414万円より2.41倍から4.83倍高い。
では、なぜこんなにも医者と一般的労働者には所得格差が生じるのか?
その理由は国民健康保険と医療費の関係を見ると解ります。そう、内科や歯医者へ行って治療を受けると、1,200円くらい診察料を取られます。
だけど、この1,200円は3割負担の料金であり、医者が実際に受け取っているお金は、この場合、4,000円です。そして、4,000円と1,200円の差額である2,800円は税金であり、医者は税金を受け取れる残された最後の既得権益職業なんです。
他にも資格の必要な職業は弁護士、税理士、会計士、不動産鑑定士とたくさんあります。
そして、そのなかでもっとも強烈に政治力が高いのが日本医師会を擁する医者であり、日本医師会が強烈に医者の数を増やさないよう政治家に働きかけているため、医師不足は解消されず、医師不足が解消しない状態が継続しているから、医者一人当たりの収入が高止まりしているんです。
弁護士や会計士の所得が低い理由は、資格取得者(合格者)の人口が多いためです。どれほど優秀な人材であっても、人員過剰であれば激烈な競争が発生します。
だけど、数の少ない職業であり、その職業人口が増えないまま永続することがわかっている場合、医者になった瞬間から金持ちになる人生が確定しているんです。
だから学生はそんなこと考えてないけど、富裕層の親御さんが自分の子供が医者になった瞬間から金持ちが確定されることを知っているから、子供に医学部の受験を強烈に推奨させ、それが理由で医学部だけはいまでも受験戦争が勃発しており、激烈な競争が継続しています。
医者が既得権益職業なのは日本医師会の政治力が非常に高いことから、医者の人口が増えず、その限られた人口に学生が殺到することから、医学部の競走倍率が50倍の様に熾烈を極めることになり、だからこそ、各大学において医学部だけ偏差値が突出して高いんです。
収入のうちの7割が税金であり、10分の診察で4,000円を獲得できる、職業人口の増えない競走の発生しない、国に保護された、多額の税金を受け取れる職業。
そう、残された最後の既得権益職業。それが「医者」です。
論理が全部つながったことを確認し、自己の思考力によって命題が氷解したことを確認し、私は哲学を終えたのです。