障害者新聞

目と耳の障害者が作った新聞です。社会の本質を書いています。

確実に損をするのに、なぜ、人はギャンブルをするのか?

なぜ、人はギャンブルをするのか?

合理的な人間はギャンブルが無意味だということを知っています。


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それは原価計算するためです。


カジノにしろ競馬場にしろ宝くじにしろ、その建物の水道光熱費や店員やウェイトレスやディーラーに支払う給料も、テナントの家賃も、すべてギャンブルによって得られる売上高から支出しています。


また、ギャンブルに使うお金のほうがギャンブルで勝ったときに受け取れるお金よりも確実に多いことを、合理的な人間は理解しています。


宝くじの場合、あの小さな建物の建設費とクジを売っているおばちゃんのお給料も宝くじを購入する際のお金の一部から支出しているため、宝くじを買うと損をすると、合理的な人間は考えるのです。

なのになぜ、人は宝くじを買うのか?


別に競馬でもパチンコでもいいですが、それでも人がギャンブルする理由は2つあります。


1つはギャンブルにはエンターテイメント性(娯楽性)があるためです。ギャンブルに使ったお金より勝ったときに受け取れるお金のほうが中長期的には少なくなります。


中央競馬上もスポーツクジもきちんと毎年利益を出しているため、その分、損をすることは、ギャンブラーも理解しています。


だけど、宝くじを購入して当選発表日までくじを保管しているとき、人間は通常の生活では得られないドキドキ感を得ることができます。


毎日のつまらない生活が、もしそのクジによって3億円当たったら生活がどのように変化するのか、豪邸を建てたりマッハで会社を辞めたりと、辛い仕事の最中であっても、それを妄想することで耐え忍ぶことができます。


くじを買わなかった人はただの普段の日常ですが、くじを買った人は当選発表日までの数ヶ月間はわくわくしながら興奮状態で日々を過ごす事になります。


つまり、損するの分かっていて、おばちゃんや建物の建設費にもクジのお金が使われていることを承知の上で、エンターテイメント(娯楽)として日々を楽しむために宝クジを購入しているのです。


もう一つの理由は、人生の一発逆転性が発生するためです。サラリーマンの生涯年収は高卒で2億円、大卒で2億6,000万円です。


ここに40年間の生活費と家賃が差し引かれるため、貯金できる金額は2,000万円から3,000万円程度です。


宝くじの場合、生活費と関係なしに一度に3億円が入ってきます。宝くじの運営費や利益を差し引いても、サラリーマン人生10回分の貯金、つまり、生涯獲得できないほどのリターンがあり、人生を一発逆転できる可能性が1ミリでもあるのならば、夢見たいという人たちが1枚300円で購入しているのです。


この心理は、20代のうちは分からないと思います。30代後半にもなるともう人生に一発逆転なんかなく、このままずーっとサラリーマン続けて定年後も細々と生きていくんだろうなあという、自分の人生の終電までのレールをある程度予測することができてしまいます。


その人生の終着駅までの流れが分かってしまうと、途端に生きているのがつまらなく感じてしまうのです。


だから無条件で一発逆転人生を少額の予算で狙える宝くじは、何の変化もない日々の生活のなかにおいて、極めて刺激的であり、実際に当選したらすぐに会社を辞めて悠々自尊の生活を送れる、残された最後のチャンスと言えるのです。


自分の人生はこんな感じで終わっていくのかーと思っていたら、いきなり一発逆転を狙える最後のツール。


それが宝くじであり、人生をやり直すことはできないけれど、今後の自分の人生は当選さえしてしまえば、まだまだこれからもやり直すことができると人間心理に働きかけることから、損をすると分かっていても買ってしまうのです。


ほとんどのギャンブルは娯楽(興奮状態)を買い、消費するためであり、宝くじのような当選時の賞金額の大きなギャンブルは損をするのを知っていても、お金持ちになって自分の人生をやり直せるかもしれないという夢に突っ走るために購入しているのです。


ちなみに、自分は一切のギャンブルをせず、クジを買いに行く時間すら惜しいと感じており、持てる全ての時間を仕事に捧げています。


価値観が異なるため、(そして私の価値観が正しいとは思っていない)、ギャンブルする時間すら惜しんで、仕事に自分の時間を捧げたいと思っているのです。