障害者新聞

目と耳の障害者が作った新聞です。社会の本質を書いています。

医師は超金持ちなのになんで介護福祉士は低収入なのか?

はい、こんにちは。盲ろう者のクロスです。

今日は経済学のお勉強をしてみたいと思います。


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日本では介護も医療(治療)も診察報酬、介護報酬の金額が決まっています。


どんな医療行為をしたらどれくらいの報酬がもらえるのかの上限は、医師も介護福祉士も、あらかじめ決められているのです。


(これが原因で介護福祉士の給料は安いままなのです)


ではなぜ、同じ専門職なのに介護福祉士の年収は250万〜400万円なのに、勤務医の年収は1,000万円~2,000万円なのでしょうか?


これはミクロ経済学の「生産性理論」を使うと一瞬で分かります。まず最初に具体例を挙げます。


なんで同じ農業国なのにナイジュリアは発展途上国で貧しい国なのに、アメリカは同じ農業国で豊かな国なのか?


その理由はナイジュリアが大豆の苗を鎌で1束1束収穫しているのに対して、アメリカ人はコンバインで一瞬のうちに大量の大豆を収穫しているためです。


つまり、人間一人が生み出す収穫高(これを一人当たりGDPと言います)がアメリカ人のほうがナイジュリア人より33倍以上の収穫量を誇るから、給料も33倍多いのです。

これを経済学では、一人当たりの「生産性」と呼びます。


はい、介護士と医師の話に戻ります。医師は一日あたり平均して30人の患者を治療し、一人で30人から診察報酬を受け取ります。


介護士は一人で平均3名のお年寄りを介護しているため、給料が医師の10倍少なくなるのは経済合理性上、合理的であると言えます。


介護士が所得を医師並にするには2つの手があります。


一つは一人で医師と同じように30人介護することです。これでは、たぶん、過労で倒れてしまいます。


二つめは、一人の介護士が10台の人間と見分けの付かない介護ロボットを指揮して、30人を介護することです。これは技術革新が起こればなんとかなりそうです。


収益側に条件がある職業であるため、一人ひとりの介護士の「頑張り」ではどうにもならないのが実情です。


そのため、いつまで経っても介護士の所得は増えないのです。増えないには増えないなりの理由があり、それは「社会科学(この場合、ミクロ経済学)」の1理論を使えば、あっという間に分かってしまいます。


マスコミは努力や頑張りやお年寄りに対する思いやりの心が大切で、現場は頑張ってます、報酬を増やしてください、などととんちんかんな報道をしますが、問題は仕組みであり、制度側です。


介護保険の保険料を増やすか、一律料金を廃止するなどの案もありますが、これらにはそれぞれデメリットも付きまとい、一律料金を廃止すると介護にも格差が生じてしまうことになります。


だから、いまはまだ膠着状況であり、膠着している状況が持続しているため、その間は介護士の所得は増えない。が一般人である私の見解となります。