障害者新聞

目と耳の障害者が作った新聞です。社会の本質を書いています。

なぜ、インターネットの記事は役に立たないのか。その根底にある本質とは何か?

キュレーションメディアWELQが閉鎖されました。医療情報において「肩こりの原因は幽霊」などと嘘偽りを記事として配信していました。

DeNAの経営陣は金を生むため、それがどのような記事なのか内容を把握していませんでした。そして、嘘偽りの記事をGoogleは検索1位にしてしまったのです。


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表層的な事象はメディアに任せて、本質的なインターネットの問題をここに取り上げていきます。WELQ問題の本質は3つです。


1.インターネットは努力が報われない

インターネットの世界では、真面目な記事はアクセス数が少ないです。DeNAの南場会長は会見において


”学術論文を一般の家族や健康に関心がある人に届けることが目的で、医療のプロが書いていたが、想定ほどユーザー数が伸びなかった”

と話されています。
WELQの前身のサイトである「メドウェッジ」では真面目な記事が書かれていたのです。


でも、それではお金を稼げるだけのアクセス数が得られなかった。真面目に書いている信頼性の高い記事より、肩こりの原因は幽霊だとか、ガンに効く美味しいきのこだとか、それが正確なのか間違っているのかではなく、記事の内容を水増ししたり、他社の記事を盗作して別の表現で書き直し(リライト)することで、記事本数を爆発的に増やすというSEO対策をしっかりと行った記事のほうが「金になる」のです。


なぜなら、Googleは記事の正確性を理解していないから、SEO対策がしっかりとされたサイトのほうが、たとえ記事の内容が間違っていようとも、真面目に書かれた記事より上位に表示されてしまうのです。


DeNAはガチャで炎上を起こしたように金になるサイトにおいては厳しいチェックが行われてきませんでした。その理由は上場企業の目標が「当期純利益の最大化」だからです。


ずっと信憑性の低い記事を垂れ流してきたのに、それを東京都という外部に指摘されるまでは自分達で記事の信憑性(信頼性)を調べようとしなかった。


自浄作用が働いていない、管理されていない企業だということです。なぜなら、厳しいチェックを入れると利益が減るからです。

DeNA ガチャ」で検索すればどんな企業なのかがよく分かります。


そして、真面目な記事よりも信憑性の低い劣悪な多くの記事のほうが、アクセス上位に来るのです。なぜなら、インターネットは「質より量」だからです。

記事本数がモノをいう仕組みが検索エンジンには存在しているのです。


2.企業は合理性で動いている

WELQの前身のサイトである「メドウェッジ」は真面目な記事を作っていました。真面目な記事を作り続けていればよかったのですが、企業は金にならないことをしないのです。


企業は利潤の追求のために合理的に動いているのです。もっとも金になるのは、劣悪な記事を大量に配信するというSEO対策でした。


そのため、企業は合理的に、金にならない質の高い記事を書くのをやめ質の低い記事を大量に配信し、「当期純利益の最大化」のために利潤の最大化を図ったのです。


通常、管理職が倫理意識を持っているためタガが外れることはありません。利益が出ていても、「この記事は全部嘘偽りだから止めよう」となります。


だけど、それは社内規定やルールではなく属人的(人によるもの)なのです。DeNAの経営陣にはそういう倫理意識を持った人間がいなかったから利潤の最大化のために暴走したのです。


これでガチャのときを含めてDeNAの暴走は2度目です。倫理意識は利潤の追求の逆の論理であり、倫理意識を持ちすぎると利益は減ります。


だから、利潤の最大化のためには、利益になることだけすれば良いのです。これが一番合理的です。だけど、それは、「人としてやってはいけないこと」なんです。


それを意識して管理職が歯止めをかけられる組織なのか、歯止めをかけられず、利潤の追求のために突っ走る組織なのかの違いです。


DeNAは後者だったということです。管理者が「知らなかった」では済まされないのです。なぜなら、管理職の仕事は管理することだからです。


3.検索エンジンは記事の真偽を判断できない

インターネットは競争社会です。
たとえばGoogleで「哲学とは」と検索すると24,800,000件の記事が検索表示されます。


私が「哲学とは何か?」という記事を書いても、24,800,000分の1の記事となってしまい、アクセスされることはありません。


そこで利潤の追求を目的とする企業は、どうすれば合理的・効率的に上位に表示されるのかを考えます。これが「SEO対策」です。


上位に表示されるには大量の記事を書く他ありません。このブログも記事本数が134本を越えたあたりからアクセス数が急に増加しています。


記事の質に変化はなく、記事の量がある一定の段階を超えたところでGoogleに評価され、検索上位に表示されやすくなるのです。


そのためインターネットのルールは「質より量」となるのです。検索して役に立たない記事が上位に表示されるのは、規模の大きいサイトが上位に来るためであって、記事の質や記事内容や記事の真偽はまるで評価されないのです。


外部リンクが貼られているかどうかといった他人任せの判断以外では、記事の内容を検索エンジンは把握できていないのです。


また、記事を水増しし、内容よりも語彙量を増やした記事の方が上位に表示されやすくなります。企業はそれを知っているから、中身のないボリュームの大きい記事ばかりを書くのです。


だからインターネット上の記事は役に立たない、ガンの治療法の記事だろうと喉の腫れを治す記事だろうと、上位に表示されるのは質の高い記事ではなく、サイト規模とマーケティングが施された記事ボリュームの多い記事ばかりになっているのです。


喉が腫れたというだけで「食道ガンかもしれませんよ?」という信頼性の低い記事が検索1位にくるのです。それは検索エンジンが記事の真偽を判断できていない証拠です。


自分達でサイトを30個作って外部リンクを30個獲得するとか、マーケティングをすれば記事内容が空っぽでも検索上位に表示させ、お金を稼ぐことはできてしまうのです。


・・・こうしてみると、インターネットの記事は基本的に役に立つことがありません。自分で質の高いサイトを見つけるのは骨の折れる行為です。


記事の質ではなく量を重視する検索エンジン検索エンジン市場でトップシェアに立っていることが問題なので、記事の質を重視し、文章内容を理解できる検索エンジンのニーズが現在のインターネットには存在すると考えます。


現在が不便であり、ニーズがあるということは、新規参入業者にチャンスがあるということです。サイト規模を重視するのではなく、小規模なサイトでもまともな記事を検索上位に持ってくる検索エンジンのニーズがあるということが、WELQ問題の本質なのです。


つまり、現行の検索エンジンが人に負け続け、すぐにSEOという名の対策がされてしまっていること。対策されアルゴリズムが人に敵わないこと。負け続けること。ズルを見破ることができないことがWELQ問題の本質なのです。